総務省統計局が2006年にまとめた資料では、2025年には高齢者人口が3500万人に達し、認知症の高齢者数は約320万人になると推計しています。今後認知症高齢者は急速に増加すると見込まれています。これに伴って介護の問題が深刻な課題になっていきます。
厚生労働省は2019年度予算の概算要求に関して、福祉介護人材確保の推進分野の要求額を前年度の当初予算額よりかなり増やしています。公的資金を導入する理由の一つが無資格の助手を活用したサービス提供モデルの確立です。この背景には国家資格を持つ専門家だけでは人材が足りないという現実があります。だれでもなれる助手を増やすことでスタッフ求人が困難な現状の緩和を図っていきたいという狙いで、そのための費用 補助をどういう形で制度化していくかという点が注目されています。
国のモデル事業や地方自治体の支援策の増加
認知症高齢者や心身に障害を抱える人を支える介護の仕事は、やりがいがありますし求人も多いのですが、絶対的な不足が以前から指摘されています。このため国は2019年度施策で人材確保に向けた新事業を実施する構想を公表し、業界の注目を集めています。具体的には無資格の助手の活用、さまざまなサポート職種間の連携による人材の効率活用、事業間の協力を実現するための方策を探るモデル事業です。この財源を生かして全国で30ケース程度のトライアルを予定しています。
政府がこれほど本腰を入れるのは、現場の人材不足が深刻になる一方で改善に向かうトレンドが生まれないからですが、これとよく似た状況にあるのが保育業界です。保育士の絶対的不足で入園できない待機児童が問題となっているため、解決策の一つとして保育士への就職支援給付金制度を導入する自治体が相次いでいます。介護業界も国家資格取得を目指す人に対する修学資金の貸し付けを行う自治体が増えるなど、様々な形で人材不足を打開するための費用 補助施策が試みられています。
地方自治体も費用補助摘要など独自の取り組み
求人してもなかなか人が来ない介護事業の悩みは、地方自治体も解決を迫られている重要課題ですので、さまざまなたちの補助金交付など費用 補助事業に踏み切っている自治体もあります。介護事業者が、無資格者の助手を雇用するなど、行政が支援対象とする取り組みを実施した場合の経費の一部を補助するケースもあります。自治体によっては、助手の導入活用に向けて一連の業務を整理したり区分し、助手が行う業務についてとりまとめて業務分担や労働時間の切り分けを明確にしたり、助手としての就労機会につなげられるような説明会や広報事業、就労マッチングなどを実践した場合には、たとえ実際に助手雇用に至らなくても費用 補助を行うとしているケースもあります。
無資格の助手の賃金面を自治体が是正しようとする動きも活発化しています。直接的な費用 補助施策ではありませんが、助手の賃金については適切な時間単価にすることや、交通費の支給、条件が整っている場合の社会保険への加入などを明記している自治体もあります。行政措置や費用面の補助を考慮することで求人に対する応募を増やしたい意図があります。