国内の介護業界の現場は恒常的な人手不足が続いています。2015年に厚生労働省が発表した、2025年に向けたこの業界の人材需給推計の確定値によると、需要見込みは253万人です。これに対し予測される供給見込みは215.2万人で37万人以上が不足することになります。国はこの需要と供給のギャップ解消を目指していますが、現状を見ると厳しい面があります。
人手不足の一因は介護福祉士が足りないことです。法律で定められた国家資格を持つ専門職ですが絶対数が足りません。さらに伴侶の転勤や出産などで現場を離れざるを得ない人が相当数いることも要因です。利用したい人は増えるのに専門家はなかなか増えない。この問題を解決する方法の一つとして最近注目を集めているのが、無資格で働ける助手です。資格がいらないのですぐに働けるため求人にもすぐに応じられます。
有資格者はメイン業務に専念し助手は周辺業務を担当
厚生労働省は近年、高齢者や心身に障害を抱える人たちの世話をする事業の業務内容を切り分け、国家資格がいらない介護助手の導入を促進しています。国家資格を持つ専門家は高度なサポート業務に専念し、無資格の助手はそれ以外の周辺業務について対応するという業務の区分けです。
有資格者の業務は本来多岐にわたるため労働負荷を生みやすいという実態もあります。業務の切り分けによって、プロならではの高度なサービスだけを有資格者にやってもらうようになれば労働負荷の軽減が期待できます。本来有資格者がやってきた業務のうち、専門的知識がなくても対応できる業務は無資格の助手がカバーします。
こうして求人しやすい環境を作り、サービスの質も向上させるという一石二鳥の戦略です。助手は、誤嚥事故を防止するため食事サポートは担当しませんし、排せつや入浴など直接利用者の身体に触れる仕事はしません。しかし清掃やベッドメイキングなど他にも多くの業務があります。そうした面をサポートするのが助手の大切な役割です。
助手になる方法と仕事の一般的な内容
介護助手の求人は多く、しかも無資格なので働こうという意欲さえあればいつでも働くことができます。地方自治体のホームページや、専門業者が運営するサイトに登録すれば、ベストマッチの職場を紹介してもらえる可能性があります。将来は国家資格を取りたいという意欲があるのであれば、研修支援をする自治体などもあります。
無資格助手の業務内容は自治体や施設によってある程度違いはありますが、比較的すぐに対応できるのが室内や施設内の清掃や片付けです。また介護福祉士らの指示を受けて備品の準備などを行います。慣れてくれば、需要者の日常生活活動に応じて、ベッドメイキングや配膳時の準備といった仕事があります。ある程度経験を積めば、利用者の話し相手になったり、見守ったりする仕事もあります。有資格者への道を歩む場合は、こうした現場経験を積むことも貴重なキャリアになります。資格なしで飛び込める世界ですから意欲や興味があればトライする価値はあります。