厚生労働省老健局が2014年にまとめた高齢者施策によると、65歳以上の高齢者は2042年には3878万人のピークを迎えます。また75歳以上の高齢者の総人口に占める割合は2055年には25パーセントを超える見通しです。この数字が意味するところは介護が必要な人口が増えるということですが、現状の国家試験制度では介護福祉士の急増は望めません。そこで注目されるのは無資格で介護現場で働ける助手という新しいスタッフポジションです。
国は地域の特性を生かした地域包括ケアシステムの構築を推進するとしていますが、現実には地域で資格を持って仕事をする人材の大量確保は簡単ではありません。そこで有資格者の業務内容を切り分け、比較的簡単な作業についてのみ担当するスタッフとして助手を確保する求人戦略が地方自治体の大きな課題になっています。
元気な高齢者を活用する新発想の人材対策
介護事業にとって若い労働者が確保しづらいのが全国に共通する悩みで、政府も対応の一環として外国人労働者の入国緩和策を進めようとしています。そんな中で言葉や習慣などに問題がなく、働く意欲が高いアクティブシニアが新しい労働力源として注目されています。まだ働けるのに定年を迎えてしまったとか、自己啓発や社会貢献の立場から戦力になりたいという意思を持つ高齢者層の掘り起こしを進め、高齢者の就労問題と介護業界のマンパワー不足を解決しようという新発想です。
国家資格というハードルがない無資格助手であれば業務内容も見守りや起床の手伝いといった軽度の作業なので高齢者でも十分対応できるため、求人に奔走している地方自治体はアクティブシニアに熱い視線を送っています。有資格者にとっても膨大な作業の一部がカットされるわけで、その分専門的業務に専念できますし、労働が軽減されるのであれば国家資格を目指そうという人が増えてくる付随的効果も期待できます。
無資格介護者になりたい人への有用情報
無資格介護者として働きたいのであればサイトの活用が便利です。求人情報サイトで登録すれば全国の情報を検索できます。ネットが使えない方のために電話でも受け付けてくれる親切なサイトもあります。専門家が足りない自治体は熱心に人集めをしているので自分が働きたい場所や条件を考慮して選択できます。
何の知識もないまま仕事をするのは不安があるという人を引き寄せるため、多くの自治体が研修制度を導入しています。人材不足が深刻な自治体は研修制度の充実に熱心な傾向があります。こうした自治体の公式サイトには事業者にとっても有用な情報が含まれていることがあります。自治体が対象としている無資格スタッフの雇用に向けた取り組みをすれば、採用に至らなくても経費補助が受けられるケースもあります。それほど人手不足はひっ迫しているというのが現状であり、無資格スタッフの確保は超高齢者時代という社会の要請です。